【令和6年8月】
憲法改正に正面から挑み、 国内外の社会構造に適した「今の憲法」へ
~関健一郎 ~
【私の考え】
憲法は、その理念を継承しつつ、国際社会の潮流や国内の社会構造の変化に合わせて改正を行うべきです。
「教育の無償化」「統治機構改革」に加えて「憲法第 9 条2項削除」「緊急事態条項の創設」の実現を目指し、
停滞し続けている憲法審査会の議論を加速させなければなりません。
憲法を改正し、国民の皆様の暮らしに意味を持たせるために、
具体的な政策に関してもこれまでの政治活動や専門家の意見を通じて自身の主張をまとめました。
【趣旨・背景】
日本国憲法の条文は70年前に施行されて以来一言一句変えられていません。
小学校で憲法を勉強する子どもたちにもわかる、少なくとも難解ではない言葉遣いを目指すべきです。
そして何より、国際社会の潮流や国内社会の構造的な変化に合わせて改正します。
【教育の無償化】
「生まれた世帯の所得や性別や年齢に限らず、万人に機会の平等を」
憲法 26 条の「教育を受ける権利」について、
「生まれた世帯の所得、性別、年齢などの理由によって教育を受ける機会を奪われないすべての国民は経済的理由によって教育を受ける機会を奪われない」ことを憲法に 明文化し、
保育を含む幼児教育から 大学などの高等教育まで、すべて無償にします。
近年、我が国では経済的な理由により教育を受ける機会が制約されるケースが顕在化しています。
経済的な困難によって教育の機会が奪われることは、不平等や社会的格差を生み 出す原因になります。
部科学省によりますと、給食費の月額は公立小学 校で約 4500 円、公立中学校で約 5000 円となっています。
給食費を恒久的に無償化することで、保護者の負 担軽減を行います。
さらに、高等教育における学費などの負担が大きく、学業へのアクセス が経済的理由で制約されています。
文部科学省の公表資料によると、幼稚園か ら大学卒業にかかる平均的な教育費用は、
全て国公立でも約 800 万円、全て私立だと約 2200 万円にのぼり、無償化を実現させます。
それと並行して、高等教育は 必要とする人が受けるという原点に立ち戻り、
希望者が全入状態になっている現状を改革 し、時代やニーズに合わせて合理化・適正化や統廃合を行うことで
無償化によるコストが 膨れ上がることを抑制していきます。
その捻出した財源をもとに特色ある教育や研究に配分し、
大学の教育研究力を強化することを目指しします。
経済格差が教育格差とならない機会平等社会を実現させるために、
その理念を 法律ではなくあえて最上位の憲法に明文化することで、
全ての教育の無償化を実現し、そ の政策および理念を持続的なものにすることを目指しています。
そして何より日本という国家が子どもをどう位置付けているのか。
文字どおり国家の宝として扱うことを憲法に明記します。
誰もがその機会を得るための覚悟と努力さえあれば、
挑戦することができる日本にしなければなりません。
挑戦をする。失敗をする。また挑戦をする。
結果の平等ではなく、だれもが覚悟を持って臨めばその挑戦権を得られる「機会の平等」を実現します。
それは、自分の人生に、自分の未来にワクワクし、挑戦する環境を作ることに直結します。
【憲法9条】
「現実に即した平和憲法の象徴に」
冷静な議論が求められる憲法9条。
2項削除こそ国際社会の潮流に沿った、現実的な外交の土台となります。
まずは、全文をご覧ください
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
この前の部分「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」はすべて残します。
そのうえで第二項「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」を削除します。
この文章は、自衛隊と矛盾します。「戦力ではなく自衛力」という謎の論理は国際社会では通用しません。
自らの国を侵略してきた勢力から自衛する行為は「戦力」によってのみ行われます。
能動的に相手を殴る拳と攻撃してきた相手に身を守るために繰り出す拳はいずれも「戦力」であり、交戦権の行使です。
自衛隊とその行動と矛盾するに功を削除すべきです。
権力を持つ当事者の付け入るスキを与えないためにも、時代に即した改正を行い、責任ある平和国家を目指さなければなりません。
【統治機構改革】
「地方の均衡なる発展から地方の多様な発展へ】
「北海道と沖縄と豊橋と渥美半島で同じ仕組みで成り立つわけがない」あらゆる仕事の現場でこのような声を聴きます。
全国一律でできることとできないことの線引きを明確にします。地方のことは地方で決めることができるよう、責任と財源を地方へ委譲します。
地方分権のための「道 州制」の実現を目的に、いまの都道府県に代わって、より広い区域をカバーする自治 体として「道州」を新たに設けます。
これにより国の役割は、外交や安全保障など、国家としての存立に関わることに限定することになり、
地方は、戦後の高度経済成長の均衡なる発展から多様な個性ある発展へと転換されます。
【憲法裁判所】
「国民以外が改憲をできないように」
少し難解なものの、とても大切なのが憲法裁判所です。
政治、行政による恣意的な憲法解釈を許さないよう、法令などが憲法に適合しているかを審査する機能を持ち、
憲法裁判所が違憲判決を出した場合はその効力を失うことになります。
戦後日本の政治史においても内閣法制局という言葉がよく出てきます。
内閣法制局は、内閣が国会に提出する法案や政令、条約について、憲法や既存の法律と矛盾がないか、
条文表現や用字・用語の妥当性を閣議決定などの前に審査する機関。
内閣を補佐する立場から、憲法をはじめとする法令に関して内閣や首相、閣僚に意見を述べる役割を担います。
この法制局の時の内閣の意に沿った「恣意的」ととらえられかねない解釈に日本の国会は多くの時間を浪費してきました。
皆様がテレビを見ていて「そりゃこじつけだろ」と思う解釈の論理付けを行ってきた機関でもあります。
日本の頭脳の精鋭が集う霞が関をもっと前向きなものに活用してもらうために「憲法裁判所」は不可欠です。
【緊急事態条項】
コロナ禍においては、なし崩し的な超法規的措置により、
人権侵害ともとれる事態が生じたことも指摘されています。
本条は、緊急事態に対応するための緊急事態条項を憲法に創設することで、
緊急事態に 際して必要な対応をより迅速かつ効果的に、かつ立憲主義的に対応することを目的としています。
具体的には議員任期の延長などを規定して立法機能を存続させ、
緊急事態でも制限できない人権を明記するなど、権力を抑制的に運営する内容を明記する一方、
立法府が機能しえないときには政府による緊急政令や緊急財政処分を行う権限を規定します。
こうした緊急事態条項についてはその濫用を防止するために、
緊急事態条項の発動には憲法裁判所の承認が必要と明確に規定しなければなりません。
繰り返しになりますが、権力が集中した状態を不要に延長などできないよう
権限が拡大する範囲や時期などの縛りを明記しなければなりません。
世界の憲法の93.2%には緊急事態条項が明記されていることにもある通り、有事への備えは不可欠です。
【国民投票法】
表現・言論の自由に配慮し過度な規制は行わず、
国民投票広報協議会等を通じた正確な情報発信によって国民的議論を喚起します。
また、ネット上のフェイクニュース等が社会問題化している現状に鑑み、
情報リテラシー教育の推進を図ることを憲法に書き込むべきです。
現行法では国民投票の際、投票日の14日前から、
国民投票広報協議会が行う広報の ための放送を除き、
テレビやラジオの広告放送は禁止されている。
他方でインターネット 広告については、全く規制がない状況である。
国民に対して正確な情報を伝え、国民的議 論を喚起するためにも、
フェイクニュース等の対策を行うことを前提に、
国民投票広報協 議会等を通じて、過度な規制にならないよう、
国民の知る権利とバランスを重視しながら、国民的議論を喚起すします。
ちなみに国民投票広報協議会は、憲法改正の発議があったとき、
当該発議に係る憲法改正案の 国民に対する広報に関する事務を行うため、
国会に、各議院においてその議員の中から選任された同数の委員(各 10 人)で組織する協議会です。
協議会は、国民投票公報の原稿の作成、投票所内の投票記載場所等において掲示する憲法改正案の要旨の作成、
憲法改正案の広報のための放送及び新聞広告その他憲法改正案の広報に関する事務を行います。